浅草 その22012年02月16日 14:37

「精養軒」にたどり着けないまま、その2に入ります。

この記事もラーメンに興味が無い方は読み飛ばしてください。

兄が北九州へと移り住んだ後、弟さんはは佐賀に移り住み佐賀市松原に「三九軒」を開店します。

ここのラーメンは本当に美味かった。
やや澄んだスープに強烈なトンコツの香り。
あの香りが苦手な人は店の前も通れないでしょう。

いっぱいに詰めても7~8人程度の店で、奥さんの暖かい対応でいつも満席でした。

おにぎりを頼むとたまに旦那さんが握る事が有るのですが、これが。。。。。
ぎっちりと指の食い込んだ跡の有るとんでも無いおにぎりが出て来たりしました。

しかし残念ながら10年ほど前に奥さんが亡くなられ閉店してしまいました。

その後佐賀県北方町で一度復活したようですが、今はもう閉店されています。

今でも「ごま油?ニンニク油?どちら?」と尋ねる奥さんの声が聞こえて来るようです。

もう1人の人物は三九の支店を玉名市に出店します。
これが今では有名になった熊本ラーメンのルーツに繋がります。
この地で三九は大変な繁盛をし、その後何人かの人物にラーメンの作り方を伝授します。
その方々が出店した店が今では熊本を代表する有名店となっている「こむらさき」、「味千らーめん」、その他です。
東京にある有名な「桂花ラーメン」は「味千らーめん」の系統に入ります。

その後、屋台と玉名の店を閉め佐賀市へと移り住み「三九」を出店します。
この店は、元祖久留米ラーメン、中華そば専門店の暖簾を掲げています。
ここのラーメンは他の佐賀ラーメンとは傾向が異なり、古い時代のラーメンを彷彿とさせる素朴な味わい持っています。
お店には九州ラーメンのルーツについて取材された時の新聞記事の切り抜きが飾られています。
私の文章もそれをベースにした物です。

この辺りです

さて、ようやく九州ラーメンのルーツについての説明は終わりました。
ちょっと長過ぎました。

で、ようやく「精養軒」ですが、味の傾向は今は無き「三九軒」に似ています。
わずかに透明感の有るスープに強烈なトンコツの香りとコクと酸味。
もう年配のご夫婦が作る味と古びた店構えがたまりません。
おそらく佐賀で最も忠実に九州トンコツ黎明期の味を伝える店だと思います。

この辺りです

浅草の「美登里」はこの「精養軒」に感激して出店した店とされています。

美登里


「美登里」のラーメンです。
本家に比べて、スープの色が若干ベージュがかっています。
香りも弱めですが、これは関東で出す以上仕方無いと思います。
コクはまずまず。
しかし遠くに「精養軒」っぽい酸味と旨みは感じますが、まだ改良の余地は有りそうです。
ちなみに「美登里」では、麺やお酒などの食材は佐賀から取り寄せています。
ぜひとも本家を凌駕する味を作り出して繁盛させて頂きたいと思います。

この辺りです

Google Earthはまだ古い写真のようです。

昨今のラーメンブームは本当に凄く、そのおかげも有って本当に美味しい店が増えました。

とは言え、佐賀には九州トンコツと言う大きな勢力を作り上げた基礎を支えた方々がいらっしゃいますし、伝統の味を伝えてくれています。

もしラーメン好きを自称する方がいらっしゃるならば、佐賀ラーメンを一度は食べて損は有りませんし、またラーメン好きにとっては聖地と呼べるのではないかとも思います。

特にラーメン評論で飯を食っている方々は訪れる義務が有るような気さえします。
まさか佐賀ラーメンを知らない、または食べた事が無いと言うプロは居ないとは思いますがね。